YUtuKI「かがやく色と世界」展、印象的な無限の思いをアクリックな色彩の光とともに

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『ミラージュメモリーズ』2016.4, 728×1030mm, acrylic gouache


 昨日(2018/12/17)、中野の画廊で開催されているYUtuKIさんの個展「かがやく色と世界」展に行ってきた。

 

 なかびの月曜日、夕方にお邪魔したこともあってけっこうお忙しそうで〈実作品をはさんで実作者と対話する〉という楽しみかたはできなかった。

 

 もし個展や画廊というものが初めてというかたがいたら、作品の前で作り手に話を聞ける機会はひじょうに貴重なので、(在廊中か事前に確認して)込み具合などを考慮しつつ、いろいろ尋ねてみると楽しいかもしれない。ちなみに物販などは無理して購入しなくてだいじょうぶ。

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Ibid.(クローズアップ写真)

 YUtuKIさんはアクリル作品が多いので、原画(tableau)ひとつひとつの塗りが見られるのもめっちゃ楽しい。アクリルには定着感がある。それでいて、お隣さん同士の色が展延しあって「視覚混合」という光のうつくしい特技をいざなう。(728×1030mmという大きなキャンバスなので、近くで見たときと、遠くで見たときの光や色や絵の見えかたがぜんぜんちがう。先ほどの画像と冒頭の画像を見比べてほしい)

 

 ほかにも、絵画の凹凸(impasto)を感じるのも楽しい。デジタルイラストレーションにはない迫力がある。デジタル時代だからこそ、というと紋切り型になるけれど、じっくり作品を眺めていると画の浮き上がりに名状しがたい感情を引き起こされるときがあってとても気持ち良い。その襞との出会いみたいなのが、生きている、という気にさせてくれる。

 

 あとは実際に目の前にある物質から感じられるもの(matière)もある。波のように塗り返されたものがひとつの作品、あるいはひとつの絵として完成しているすがたをみるのがたまらない。

 

 私は「筆の一滴」(une goutte sur la pinceau)みたいなものが感じられたらうれしいなという気持ちで絵画を眺めている。アクリルはよく見てみれば、筆の動きが(消されていないかぎり)けっこう伝わってくる。そこには力強さだったり、作者の思考のウェーキのようなものが見えることがある。そういう意味で念じるように見えるので、実際かなり体力をつかう。

 

 そうやって見えたり感じたりしたものに、共感したり、驚いたり、打ちのめされたりする。話半分に聞いてほしいのだけれど、(私から見た)YUtuKIさんの作品はトーカティブで、聞き手の気持ちになる。冒頭の『ミラージュメモリーズ』はどちらかというと忙しそうというか、光の傷の跡というか、得体の知れない終止点に振り回されながら逃げるようにもがいているイメージの斑点が見えた。

 

 ちなみに、美術の授業で習ったような「ハッチング、スパッタリング、グラッシ、アラプリマ、テンペラーレ、ドライブラッシュ、グレーズ、スカンブル、擦り込み、染み込み」などの技法や描画法を知っていれば、より見えてくることもある。もちろんかならずしも必要ではないと思うし、知識や事前の情報はすべて無視して、第一印象をもっとも尊重する気持ちが大事かもしれない。

 

 目に入ってきた絵画のすべてと、これまでのじぶんの経験がガシっと結びつく瞬間がある。事前情報がそれを邪魔することも(けっこう)あるので、調べずに見にいくスタイルもおすすめしたい。

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画廊入口から奥へ

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ポストカード置き場

 個人的なお目当ては冒頭の『ミラージュメモリーズ』だったけれど、ほかにも『Spring melt』(2018.4, acrylic gouache)、『パラレル』(2018.4, 複製原画)、『ハーブの魔法』(2018.12, acrylic gouache)、『君が消えてしまわないように』(2018.12, acrylic gouache)、『猫会議』(2018.12, 複製原画)などが見られてよかった。

 

 どの女の子もかわいい。束ねられた色のまぼろしとか、輝いた表情とか、その先にありそうな詩画なストーリーがいつも気になる。

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meee Gallery Tokyo, 中野。似顔絵ドローイング中、YUtuKIさんとShikimiさん

 デジタルで出力したほうが好きな色が出るんだろうなと思う。それでも原画を制作する意義を持ちながら描いていると感じた。

 

 明日まで開催しているので、ぜひ。最後に、個展の告知ツイートの埋め込み。ちなみに入場料無料、物販や絵画購入はpixiv PAYでのクレジットカード決済可能(要インストール)。