ケルクショーズ・イリヤ 3号店(Quelque chose, Il y a - troisième)

Il solito tran tran(でも明日は何か新しいことを考えるだろうか……)

「応援ピケット」(응원피켓)ということばを拾って

 衝撃的だった。K-POPアイドルオタクのかたのエッセイを校正していたら「ピケットで応援する」ということばが出てきた。よほど眠たいときに書いた大々的な誤字かと思ったが、調べてみるとそうでもなかった。ママでいいっぽい。

 

 もともとピケットというのは、フランス語で「刺す」(ピアス)的な意味のことばで、軍事的にはストライキや敵を監視することやプラカードを持つひとのことだと思う。日本語には、後者の軍事的な意味合いで輸入されている。

 

 その「ピケット」で応援するというのだからどういうことかと思ったが、調べてみると「응원피켓」(ウンウォピッケ)ということばがあって、応援ピッケ(応援ピケット)という意味になる。アイドルの顔写真や名前が切り貼りされているプラカードのことを言う。

 

 99パーセント軍事的なニュアンスだったことばが、(恋は戦争とまではいわないが)うまくアイドル応援活動の文脈に滑り込んでいて、ことばのおもしろさを感じた。

 

 途中でうちわのことかと思ったが、応援用のうちわは「부채」(プチェ)と区別しているらしい。韓国語では、格安うちわも、高級扇子も「부채」なので、やや便利すぎるかもしれない。なぜかこの語が「負債」という意味にもなるらしく、韓国語の語彙のおもしろさを感じる。

 

 ちなみに、韓国語には「질」(チル)という接尾辞があって、これを名詞にくっつけると「繰り返してそれを使う」という動詞になる。先の「부채질」(プチェヂル)として連語をつくると、うちわで扇ぐ、という反復動作になる。「가위질」(カウィヂル)だったら、ハサミでチョキチョキ切る。